社会保険とは、
被保険者が病気や怪我、
出産や労働災害などの理由により
休職もしくは失業し、
収入が途絶えてしまった場合
生活を保障する
公的な保険制度です。
本記事では
社会保険料の決め方や、
保険料に関わる
標準報酬月額・標準賞与額について
説明します。
社会保険料とは?
狭義では、
健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料
をまとめて
社会保険料と呼び、
雇用保険料と労災保険料
をまとめて
労働保険料と呼ぶこともあります。
社会保険については詳しくは
こちらの記事で書いています。
社会保険料の対象となる人とは
社会保険への加入が
義務付けられている
事業所の条件は
下記の2点になります。
- 従業員が1人以上いる法人事業所
- 従業員が常時5人以上いる、
法定16業種の個人事業所
加入対象となる事業所(適用事業所)や
加入対象となる労働者について詳しくは
こちらの記事もご覧ください。
社会保険料の負担割合
健康保険や厚生年金保険などの
社会保険に加入している従業員は、
毎月収入に応じて
定められた社会保険料を
納付する必要があります。
社会保険料の中で、
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 介護保険料
- 雇用保険料
は企業と折半する形で納付します。
労災保険料は事業者が負担するため、
従業員は金銭の負担は
一切ありません。
社会保険料の計算
社会保険料の計算には、
「標準報酬月額」と「標準賞与額」が
使用されます。
標準報酬月額 × 保険料率 ÷ 2
保険料 =標準賞与額 × 保険料率 ÷ 2
保険料 =標準報酬月額とは
標準報酬月額とは、
給与等の平均額を
キリの良い数字に区分した等級表に
当てはめたものです。
標準報酬月額は
基本給だけではなく、
労働の対象となる給与や
諸手当が含まれます。
- 基本給
- 残業手当
- 家族手当
- 住宅手当
- 役職手当
- 通勤手当
- 年4回以上の賞与
標準報酬月額は定期収入ではない
一時的、臨時的な収入は
該当しません。
- 祝い金、見舞金
- 出張旅費
- 年3回以下の賞与などの臨時に支給されるもの
- 退職手当
標準報酬月額を見直す算定基礎届
社会保険に加入している
従業員がいる事業所は、
毎年6月に標準報酬月額を
見直す必要があります。
その見直した内容を記載した書類を
「算定基礎届」といいます。
この算定基礎届は毎年7月10日までに、
日本年金機構の事務センターか、
管轄の年金事務所へ
提出しなければなりません。
これを定時決定といいます。
標準報酬月額が年度の途中で変わる場合
9月以後の年度の途中であったとしても、
標準報酬月額を改定する場合があります。
基本給や家族手当などの
固定賃金の変動があり、
その月から連続する3ヶ月の賃金の平均が、
現在適用されている標準報酬月額と
2等級以上の差が発生した場合です。
1等級の差の場合は改定する必要はなく、
翌年度の7月10日に算定基礎届を提出します。
年度の途中で標準報酬月額を改定することを、
随時改定と呼びます。
随時改訂の際には
「被保険者報酬月額変更届」を
日本年金機構の事務センター、
もしくは管轄の年金事務所に
提出する必要があり、
社会保険料も変わります。
新入社員の標準報酬月額の決め方
新入社員の場合は、
給与の実績がないため
標準報酬月額を
算出することができません。
この場合は、
基本給や通勤手当などの固定給与に、
残業代などの変則的な給与を
見積もりで算出し加え、
1ヶ月分の見積給与を出します。
その見積給与を標準報酬月額に当てはめて、
新入社員の社会保険料を計算します。
この見積給与に基づいて算出された
標準報酬月額は8月まで適用され、
9月からは
4月〜6月の実際の給与に基づいた
標準報酬月額が適用されます。
通勤手当を多くもらっている新入社員は
標準報酬月額の等級が上がる場合があるため、
新入社員同士でも社会保険料の
金額が異なることもあります。
賞与も社会保険の対象になる
社会保険料は、
毎月の給与だけではなく、
賞与(ボーナス)も対象となります。
社会保険の対象となる賞与とは、
年3回以下の回数で
支給されるものをいいます。
賞与から天引きされる保険料は、
標準賞与額に
- 健康保険料率
- 厚生年金保険料率
- 介護保険料率(40歳以上)
を掛けて決まります。
標準賞与額とは
賞与の報酬額の1,000円未満の端数を
切り捨てた額のことで、
この金額を元にして
社会保険料を計算します。
標準賞与額には上限が定められています。
- 健康保険
年度累計で573万円
(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額) - 厚生年金保険
支給1回につき150万円
(同じ月に2回以上支給されたときは合算)
まとめ
社会保険料は、標準報酬月額や給与総額から
各保険料率を掛けることで算出されます。
また、介護保険のように
40歳以上が対象の保険もあります。
社会保険料は従業員の
収入や年齢によって異なります。
同じ新卒入社の社員であっても
全員が一律同じ保険料ということではありません。
また、法改正などのさまざまな要因で
保険料率や加入対象も変動するため、
正しい保険料を計算できるように、
被保険者や法改正の情報を
収集しておくことが大切です。